新緑の季節を迎えました。
あの忘れることのできない大震災から二か月がたとうとしています。
この2ヶ月弱は被災地の方々はもちろんですが
私たち一人一人にとっても
「あなたはどう生きますか?」と問いかけられているような日々だったように思います。
それでも少しづつ落ち着いてきて
新しい何かがそれぞれの心の中のスペースに
生まれたのではないかと思います。
まるで映画のシーンのように家や車が流されていく場面を見て
衝撃を受けなかった人はいないと思います。
映像で見てさえあれほど心を揺さぶられったのですから
実際に体験された方はいかばかりだったことでしょう。
「自分にとって一体何が大切なのか?」
声なき声はわたしたちの心の中でささやき続けます。
自分の身体と着ていた服以外すべてを流されてしまったなら
結局自分が持っていると思い込んでいたもののすべてを
本当は自分は持ってなどいなかったのだということがわかります。
実のところ 私たちは何一つ所有などしてはいないのです。
所有していると自分で思い込んでいるに過ぎず
その思い込みを保証(?)する社会の仕組みがあるだけです。
所有とは、私たちが
「わたしはこれを持っている」
「わたしはこれに対し全権を持っている」
と思っていることですが
実際にわたしたちは何ひとつ所有してはいません。
自分以外の何かに対し「全権を持つ」ことなど不可能なのです。
わたしたちが所有とよぶ概念はこの次元の外には存在しませんが、
あえて説明すれば
「あるひとつの存在(意識)が 対象となる存在と同じ時空に存在している」という単なる事実に
「自分が望めば好きなだけ長くそう(共存)できる」という思い込みが加わったものです。
あなたが「何かを持っている」と思っていることというのは
実際にはその何かと ある時(期間) ある場所で一緒に存在している、
という事実に過ぎないのです。
全ての存在に自由意思が保障されているこの宇宙では
何かがあなたとずっと一緒に居続けることをあなたが強要することなどできません。
恋人にずっと自分と共にいることを(たとえ婚姻制度などというものを発明しようとも)
強要することができないことはもちろんみなさんご存じでしょうが
まるで自由意志など持たないように見えるモノ、たとえばあなたが購入した美しいグラスでさえも
いつ粉々に割れてあなたの前から姿を消すかわからないし
割れないものであったとしても いつ失くすかわかりません。
もちろん意識というものは干渉し合うエネルギーですから
あなたがその対象と長く一緒にい続けたいと願い 大切に扱うなら
より長く一緒に存在できうるような影響はあるでしょう。
ですが基本的に「自由意思」というのは
この宇宙の法則の中でも侵さざるべきゴールデンルールであるようです。
私たち人類は「支配欲」というものを得てしまったので
何とか「所有している」と思いたく「お金」「所有権」「婚姻制度」「登記」など様々な発明をしてきました。
けれども震災でわかったように社会の仕組みが機能しなくなれば霧のように消えてしまうものです。
そもそもその対象が消えてしまえば どうやって所有できるのでしょう?
「所有している」と思い込むことで安心を得たい、というわたしたちの気持ちを検証してみる必要があります。
そのようなもので得た安心は不安と背中合わせです。
物を持っているから安心できる、口座にたくさんの預金や資産を持っているから安心できる
そのように思っているひとは ひとたびそれが減り始めた時の不安を体験すれば
何も持っていない人よりさらに不安が大きいことに気がつくことでしょう。
何が言いたいのかというと
「わたしたちはなにも所有してなどいないし することもできない」
ということです。
わたしたちが所有と呼んでいる概念は「単なる思い込み」なのであって事実ではありません。
被災地ですべてが流されてしまって 自分の身一つになってしまった方と
わたしたちは実際には何も持ってはいないという点で同じです。
ひとつ大きく違う点は 被災地の方々が
「自分は何も持っていない」という事実に気付いた状態であるのに対し
わたしたちはそのことに気づいていないということです。
実際にはすべてが意識というエネルギーが具現化したものであり
それぞれが等しく創造主から自由意志を与えられて存在しており
肉体も含めて 生まれては消えてゆく運命であるということを
わたしたちは学ぼうとしています。
意識的であろうと無意識的であろうと
わたしたちは常に何かを生み出しています。
なぜなら わたしたちの意識は常にどこかに向くようにできているからです。
それは遅かれ早かれ消え去るものです。
消え去った存在の自由意志を尊重し
ここからまた新しく何かを生み出してゆきましょう。
それがまた消え去る運命であるにせよ。
望まないものではなく 望むものを生みだしてゆきましょう。
平和な喜びの星になるために。
それを心から味わい その後手放してゆき
そしてそこからまた始めましょう。