わたしが幼いころ
母は毎晩わたしと弟に
絵本を読み聞かせてくれました。
それはわたしが
自分で本を読めるようになるまで 毎晩続いて
とっても楽しみで 心温まるひと時でした。
わたしたちが特にお気に入りで
何度も何度もせがんだのが
おばけのラーバン
という絵本でした。
もちろん今でも大切に持っています!
おばけのラーバンの一家は
おはようおひさまという名前のお城に住んでいました。
朝起きてカーテンを開けて おひさまにご挨拶するとき
おはようおひさまっていうお城のことを
わたしは今でもよく思い出します。
そして母が読み聞かせをしてくれた
その温かい時間のことを想い
幸せな気持ちになるのです。
ラーバンはとってもかわいい子どものおばけで
おばけだって怖がりだったり
甘えん坊だったりするんだな
って親しみを感じていました。
そのことは
自分と異なる存在であっても
偏見とか決めつけをしないこと
に繋がっていったと思います。
またその体験から
本=楽しい世界
というパターンがわたしの中に形成されて
内向的だったこともあり
わたしは本の虫になりました。
自分で本が読めるようになると
母は世界文学全集が
毎月1冊づつ届くようにしてくれて
それが届くのがとっても楽しみでした。
当時は
挿絵がいわさきちひろさんだったり
アンデルセン童話の翻訳が椋鳩十さんだったり
本の中には美しい世界が広がっていて
今思うととても贅沢なことでした。
どれほど多くのことを
本から学んだことでしょう!
母はわたしに
「勉強しなさい」と一度も言ったことはなく
「人には優しくしなさい」などの道徳的なことも
あまり言いませんでしたが
本から自然に学んだおかげで
勉強にも人間関係にも
苦労することはありませんでした。
ですので幼いお子様をお持ちのお母さまには
ぜひ「寝る前の読み聞かせ」をしてあげてください、と
申し上げたいのです。
忙しく 疲れて
一刻も早く寝てもらいたい、と思われるかもしれませんが
長い目で見たなら
そのわずかな時間が大きな実を結びます。
何より子供の心に
暖かな思いとなって残りますし
読解力はすべての学習の基礎です。
本を読んでもらっているとき
子どもは頭の中で
忙しくいろんなことを吸収しています。
脳のシナプスが
どんどん繋がっているのです。
生きてゆくうえでとても大切な
情報処理能力や理解力、表現力も育まれます。
幼いころにその力を育ててあげたなら
大きくなってから苦労しません。
お子様のことで悩まれている方のご相談をお受けするうちに
どうしたらそれを回避できるのかが見えてきました。
小さいうちに手をかけるべきところに手をかけることで
子どもはコンプレックスを抱くことなく
その子の持つ力を活かして
生きることができるようになります。
また心を育む美しい本が
世界にはたくさんあります。
寝る前の10分だけでも
是非読み聞かせの時間をもってみてください。
お母さまの心も洗われるような
素晴らしい絵本がたくさんありますよ。